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まおい作陶記
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北海道・長沼町からメロン灰の陶芸、可窯・岩井孝道が近況をお伝えしますー現在、札幌から配信中ー

by TAKAMICHI_IWAI
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メロン灰の始まり
財政破綻ですっかり有名なってしまった夕張ですが、風土にあった農産物をつくっている人もたくさんいます。

夕張といえば、まずは夕張メロン。

夕張市沼ノ端の豊田さんは創始者のお一人。
昼夜の寒暖の激しい土地柄を生かすため、メロン栽培に着目。
最初はずいぶんと試行錯誤を重ねられ、メロンの状態を観察するため、ビニールハウスに何日も寝泊りされたそうです。
天皇陛下に夕張メロンを献上し、その後、販売ルートを確立。
私が1984年に銀座・黒田陶苑で個展をしたころは、すっかり首都圏でも定着していたようです。

「夕張ならメロンの灰を使って作ったらどうか」と言ってくれたのが、オーナーの黒田和哉さんでした。

植物灰を釉薬に使うことは東洋陶磁の原点です。
しかし、ほとんどが樹木の灰で、蔓植物の活用は聞いたことがありませんでした。1986年、半信半疑で豊田さんに相談してみたところ、なんと収穫前のメロンの蔓を提供してくれました。
試験をしてみると陶芸に使える灰でした。

ただ、陶芸に活用するには大量のメロン(蔓)を必要とします。また、地面に這わせて育てるメロンは土で汚れてしまいます。この難問に協力してくれたのが、夕張郡栗山町の岩崎英伯さんでした。

メロンの乾燥、灰の焼き方に工夫をこらし、陶器のメロン灰釉を完成させ、1996年、「メロン灰釉刻文大皿 老いた沼」が日本伝統工芸展に入選しました。

当時、メロン灰と並行して試みていたのがりんご灰を使った磁器釉でした。
そのテストピースをみたスタッフが「なんてきれいなメロンの色!!」と勘違い、それを聞いた私は「そうだ、メロンの灰で作ってみよう。」
-それが現在のメロン灰青白磁の誕生につながりました。

メロン灰の始まり_e0144566_7184532.jpg

     器 メロン灰青白磁 筋文楕円長方皿
# by TAKAMICHI_IWAI | 2008-03-13 07:29 | 作陶記
アモキサン
うつ病と診断され、5年になる。
体と意識はしっかりしているが、意欲が湧いてこず、創作活動もできず、非常につらい。
前途が暗くなるし、私の制作で持っている可窯だから、ことは深刻だった。

主治医からはゆっくり休むよう指示を受け、2ヶ月間休養したが、さほど好転せず、土に触れない状態が続いた。

抗うつ剤はトレドミンが中心で、服用当初、効果はあったが持続せず、デジレル、リタリンなどがどんどん増えていった。
このままではリタリンに頼ることになり、依存性が心配された。

そのような折、昨年10月、リタリンはうつ病の治療薬としては使用禁止となり、主治医はアモキサンを提案してくれた。

このアモキサンは、以前から知っていたので、服用に抵抗がなく、一錠飲んだときから良い予感を覚えた。
すぐに効果があったと言うわけではなかったが、少しずつ好転してきた。

特に今年2月の節分を過ぎてから調子がよく、新作を作り出す意欲も出てきた。
このような実感はしばらくぶりだ。5年ぶりか、いや、10年ぶりくらいになる。

今日、2週間ぶり診察してもらったが、トレドミンとデジレルをはずしてみましょう、ということになった。

薬が減るのは、うつ病のつらさを知り尽くしているだけに、こちらにも勇気がいる。
まあ、調子が悪くなれば、また処方してもらえばよいので、試してみることになった。

好転を持続できれば良いと願っている。

しかし、私のうつ病は、活動と休養のバランスが重要なようで、多少社会活動に失礼しても休養はしっかりとりたいと思っている。

関係の皆様にもその点をよろしくご理解いただければ何よりの幸いです。
# by TAKAMICHI_IWAI | 2008-03-13 00:10 | 一病息災
干かずの子
札幌・すすきのに「○鮨」というおすし屋さんがある。
そこでは干かずの子を出してくれる。

かずの子と言えば、おせち料理のときにお目にかかるくらいと思っていた。
塩にした数の子を塩抜きし、だし汁に3,4日浸していただく。
コリッコリッとした食感が取り柄だが、味に旨みが足りないので、かつおを効かせただし汁で補う。
我が家でもお正月にだけ作る。

「○鮨」では季節を問わず出しているようだ。
おいしいのでかずの子について聞いてみると、
「干かずの子」というものを米のとぎ汁で約一週間かけて戻す、という。

干かずの子_e0144566_7433729.jpg

      右が干かずの子、左が戻した干かずの子

「○鮨」の川崎さんによると、昔はかずの子を干して保存し、戻して食べたらしい。
今、80,90代の人なら干かずの子を知っているかもしれないが、それ以降の世代だと塩かずの子になるのではないかとのこと。

味付けについても聞いてみた。
きっと驚くようなことをしているに違いないと予想していたが、意外にも「いや、何もしていないよ。干かずの子を戻すだけでその味になるんだよ。」とあっけない。
「ただ、戻し方にコツがあり、それは口ではいえないなー。」とのこと。

干かずの子_e0144566_7324771.jpg

       器 メロン灰青白磁 「水の歌」 六寸皿




「○鮨」
札幌市中央区南6条西4丁目西向き
TEL  011-552-6266
*10席くらいしかないので必ず「要予約」です。
# by TAKAMICHI_IWAI | 2008-03-12 07:39 | 私の卓上膳
天草陶石を使ったメロン灰釉
メロン灰青白磁の土は天草陶石です。

天草陶石は長崎県天草諸島で産する陶石で、原石を佐賀県の塩田町に運び、石臼で粉砕、水簸したものが陶土となり、可窯に運ばれてきます。

以前に天草陶石を釉原料として使いたいと思い、仮焼した天草陶石を探したことがありました。
結果は有田地方で需要がないらしく見つからずじまいとなりました。
どうも天草陶石は釉として使われていないようです。

釉は、できれば使っている陶土を用いたほうが、土と釉のなじみがよく、特に熱膨張率を一致させる効果があります。

そこで私は天草陶石の素焼きの傷物を砕いて使ってみることにしました。
石臼で砕いた天草陶石を碾臼で擂り、150メッシュの粉にして。
近々、「メロン灰ー長石ーカオリンー天草陶石系」と「天草陶石ーメロン灰系」の2タイプの試験を行うつもりです。
# by TAKAMICHI_IWAI | 2008-03-11 23:09 | 技法ノート
息子の進学
3月7日、2浪していた息子の進学が決まった。

東京の私立大学を選択したのだが、その決定に際し条件をつけさせてもらった。
将来、陶芸制作を視野に入れるという内容だ。

息子ははじめ抵抗したが、今は視野に入れはじめたようだ。

20代の息子はこれからいろいろな経験をし、刺激も受けるだろうから、結果どうなるか今から予想を立てきれるものでもないが、そのことでこちらの考えも変化しだした。メロン灰を確保をさらに充実させようとか、販路も一代限りのものではなく継続性のあるものを視野に入れなければ・・・などなど空想は駆け巡る。

一代で終結するとなると、どことなく寂しさを伴ったものの見方になるが、次世代へ繋ごうとなると、これからの方向についても発想が異なってくる。

初代の役割を意識するようになり、活力が湧いてくるから不思議なものだ。

人一人が一生かかってやれることは知れている。
やはり人の一生は長いようで実は短い。
ひとつの事を2代、3代にわたって行えれば、結構なことがやれるような気さえしてくる。

「孫」がかわいく思えるのは、そういう世代を超えいく繋がり、そういうものの存在を直感的に感じるからではないか、と息子の進学に際しそんなことを思ってしまった。

娘は予定日まで一週間となったが、まだ待機の状態だ。
# by TAKAMICHI_IWAI | 2008-03-08 23:50 |